機械工学科の伊藤・小川研究室にて補助研究員をしております森下高弘と申します.最初に簡単に自己紹介をさせていただきます.2014年4月に立命館大学の博士課程後期課程に入学し,伊藤先生の基で金属の多軸疲労の研究を行っておりました.「実機を想定した各種多軸負荷における疲労強度特性および寿命評価」というタイトルで学位論文を提出し,昨年2016年9月に工学博士の学位を授与いたしました.その後,2016年10月から現在の役職である補助研究員に就かせていただき,学生の研究指導を行いながら論文作成や学会発表に勤しんでおります.4月に誕生日を迎えまして,現在28歳とまだ若い(?) 研究者です.本文も若々しく,また柔らかい雰囲気となるように書きましたので,気楽に読んでいただければと思います.
所属しております研究室では,室温や高温域での疲労試験やクリープ試験を実施し,金属の強度評価を行っております.中でも,「多軸」というのを1つのキーワードとして,他の研究機関では実験不可能な複雑な負荷を加えた試験をしております.多軸疲労・多軸クリープについて機友会の方々に説明するのは釈迦に説法,孔子に悟道かもしれませんが,あの手この手を使って様々な方向からストレス(応力)を与えて,材料がいつ壊れるのか,どのように壊れるのかを調べる研究をしております.文章で書くと少し残酷な感じもしますが,身の回りにある多くの機器の安全性のために必要な研究となっております.もちろんストレスを与える対象は金属材料のみであり,学生はのびのびとストレスフリーで研究をしております.
このような複雑な試験を実施するためには,その試験が再現できる試験装置の開発から行う必要となってきます.そのため,当研究室にある装置の多くは自作のものであり,また装置によってはかなり古いものがあります.それ故に装置にトラブルが生じることもあります.この文章を書いている今もまたトラブルが...「森下さん!昇温装置がおかしいです...温度が上がりません」「森下さん!試験データに変なノイズが乗りました」「森下さ~ん!」実験研究の難しさと面白さを噛み締めながら,今日も学生達と楽しく研究をしております.
この試験装置の内の一つに,私がゼロから作り上げたものもあります.構想設計から始まり,基本設計,詳細設計,要素試験を通してプロトタイプの装置までこぎつけた装置です.高い周波数で曲げとねじりを重畳させた負荷を加えることができる試験装置であり,従来の多軸疲労試験装置に比べて25倍の速度で試験が可能になっております.苦労して作り上げたその装置が一生懸命動いている姿を見ると,我が子を見ているように愛おしくなります.(私自身は子供どころかまだ結婚もしておりませんが...)
これらの新しい技術を用いた試験を行い,論文や学会等を通じて外部に発表などが出来ると研究者として冥利に尽きます.昨年もスペインで行われた多軸疲労・破損の国際学会で発表させていただきました.同学会には立命館大学の坂根政男先生(1972年卒)や伊藤隆基先生(1988年卒),大分大学の山本隆栄先生(1992年卒)も参加しており,同じ機友会での交友・議論をすることもできました.若い研究者である私が,研究を介することで,世代を超えて同じ話題で話ができることを光栄に思うとともに楽しく感じます.議論の様子を撮った写真を掲載したかったのですが,あいにくそれを示すものが見つかりませんでしたので,バンケットの様子を収めた写真を掲載させていただきます.なお,証拠写真はありませんが,本当に熱の入った議論をしておりました.本当です.
終わりに,当研究室のホームページのURLを記載させていただきます.様々な試験装置やちょっとした作業風景の写真も掲載しております.是非とも見ていただければと思います.と研究室の宣伝をさせていただいてきれいに締めくくりたいと思います.最後まで読んで頂き,誠にありがとうございます.