機友会ニュースデジタル版第140回 新任教員の紹介 木内 真人 先生

新任の挨拶
 本年度より理工学部機械工学科の任期制助教に着任いたしました木内真人と申します。今後ともよろしくお願いいたします。
 私は徳島県徳島市の出身で、大阪府立大学工学部航空宇宙工学科を卒業後、神戸大学大学院理学研究科地球惑星科学科に進学しました。学部が工学系であったのに対し大学院で理学系に進学したのは、宇宙に関する「サイエンス」に興味が湧いたからです。大学院では「惑星科学」という分野の研究室に所属し博士前期課程および後期課程を修了した後、宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所で研究開発員として5年間勤務しました。宇宙科学研究所では超高速衝突装置の運用補助業務を行い、多くの研究者の方々の衝突実験のお手伝いをさせて頂きました。大学院時代から研究員時代に衝突実験と関わっていたことから、今年度より衝撃工学研究室に所属することとなりました。理学系から工学系へと再び戻ってくることとなりましたが、「宇宙」と「衝突」というテーマに対して様々な角度からアプローチできる機会だと期待しております。また、これまで学生指導を行う機会は少なかったのですが、今後は教育というテーマにも真摯に取り組みたいと考えております。

研究内容
 これまで行ってきた研究テーマの大きな枠組みは、「太陽系小天体の形成と進化の過程の解明」です。我々の住む地球は太陽系に属していますが、太陽系がどのような過程で形成・進化を遂げ地球生命はどのように誕生したのか、という疑問は人類にとって根源的なものです。小惑星や彗星などの小天体には太陽系形成初期の情報が保存されていることから、近年小天体の研究・探査が活発に行われています。
 私は小惑星の進化の過程の中でも重要な要素である「衝突現象」について研究に取り組んできました。小惑星はダストの衝突合体による集積で形成され、形成後は微隕石の継続的な衝突によって表面進化を経験し、最終的には巨大隕石の衝突によって破壊される、という衝突プロセスをたどっています。このような宇宙空間で起こる衝突現象の素過程を理解することは、小天体の形成・進化史の理解、ひいては太陽系形成過程の理解につながります。具体的な研究手法として、このような宇宙での衝突現象を模擬した室内実験を行っています。小惑星上では秒速数km以上の超高速度衝突が起こるため、このような高速度を実現できる衝突装置を用いて様々な標的試料に対して衝突実験を行っています。近年行った研究では、小惑星表面のような微小重力環境が衝突過程に与える影響を調べるための装置の設計・開発を行いました。小型の落下装置を超高速衝突装置の実験チャンバー内に組み立てて衝突実験を行うことで、衝突クレーターサイズの重力依存性を明らかにしました。また、小惑星表層はレゴリスと呼ばれる粉体層で構成されており、微小重力下での粉体層の挙動にも興味を持って取り組んでいます。
  
学生へのメッセージ
 自分が学生時代のころを思い出すと、自分が何に強く興味を持っていて将来どうなりたいか、ということを具体的に捉えられていませんでした。おそらく多くの学生の人たちが似たような感覚を持っているかと思います。私の場合は、最初はそこまで興味を惹かれていなかった研究でも続けていくうちに段々と面白さと奥深さがわかるようになってきました。一つの物事を長く続けて思うのは、何でもやり始めの段階で本当の面白さがわかるはずないよな、ということです。よく最初の段階で全体像がわかったかのように判断してしまいがちですが、わかるはずがないのです。これは研究に限らず様々なことに通じると思うので、よほど苦痛では無い限りは何事も続けてみる、ということにトライしてください。そのうち一つでもモノになれば、仕事にしろ趣味にしろ人生の財産になりますから。 
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