立命館大学理工学部機械工学科とロボティクス学科の各研究室から学部卒業生1名選出されます。選考基準は(成績優秀、学会発表優秀、ムードメーカー、縁の下の力持ち、等々)各研究室の教員に一任しています。受賞者には賞状が贈られます。今回は受賞者の代表の方に感想いただきました。
立命館大学理工学部 ロボティクス学科卒 藤野 一弥
この度は機友会奨励賞を頂き、誠にありがとうございます。今年はコロナの影響により、例年の学生よりも研究室へ足を運ぶ機会が圧倒的に少なく、教授や先輩に相談できない、実機を触ることができないなど、もどかしい思いを長期間抱える一年だったと思います。そんな状況の中オンラインミーティングや、直接お会いできる時間を作っていただき、未熟な私にご指導ご鞭撻いただきました玄相昊先生をはじめ、何度も親身に相談に乗っていただいた研究室の先輩方、共に研究に取り組み励ましてくれた同期の皆様に、心より感謝申し上げます。
私の研究テーマは「静水圧トランスミッションを用いた水圧駆動に関する基礎的検討」でした。水を媒介とするマスタースレーブシステムがどのような特性を持つのか製作した実験機を用いて調査するという研究内容です。蒸散による装置内の水の減少や気泡の発生が応答特性に大きく関与するため、装置に水を供給して空気抜きする機構を製作することでそれらの問題解決に取り組んでいました。
私は現在、自動車会社に入社し、研修を通して自動車製造について学んでおります。その中で研究活動を通して感じたことと、研修中の学びで結びついた考え方があります。それは「現場に立って考える」ということです。私は実験機の部品の製作のために、構内の工作センターにて、センターの方々に手取り足取り教えていただきながら自分で作った図面を元に部品加工を行っていました。CADの資格を持っていたので、図面を書くのに苦労することはなかったのですが、自身で加工する際に初めて自分の図面の稚拙さに気がつきました。加工の際は材料の一辺を基準に加工するのにも関わらず、私の図面は寸法線の基準がバラバラであるなど加工者のことを一切考えていない図面だったのです。また、より精度よく、短い工数で加工するにはどうしたら良いのかセンターの方々に何度もご指導していただき、加工の際の手順や工夫点について図面製作にも反映できるようになっていきました。自分で手を動かし、専門職の方々とお話しすることで気が付くことの多さに気がつき、現場に立つことの大切さを学びました。
私が配属された生技製造現場では、より顕著にこの考えが大切になると研修で学びました。現場で加工を施している技術者の方々が一番その工程について知っており、机上だけでは到底身につかない加工のノウハウや職人の感というものをお持ちです。現場に出て自身でその工程を経験すること、日々のコミュニケーションでその技術を学ぶことが、職場で一人前に成長するために一番大切なことであると学び、研究での経験と結びつきました。
研究を通して学んだ「現場に立って考える」という学びを忘れずに、技術者として知識や技術を磨きながら、生産工程の方々寄り添った生産ラインを構築することで、未来のモビリティ生産に一躍担えるような人材を目指して精進してまいります。