シリーズ「機械系教員が語る鉄道よもやま話④」

理工学部機械工学科 上野 明 教授の「機械系教員が語る鉄道よもやま話④」

 超高速鉄道編(その1 リニアモーターカー(1)):

 東海道新幹線が営業運転を開始したのは1964年10月1日でした.現在,JR東海が2027年の東京・品川?名古屋間での開通を目指して建設を進めている「超電導リニアによる中央新幹線(以下,リニアモーターカー)」は,東海道新幹線開業前の1962年に,当時の国鉄によって研究開発が開始されていました.東海道新幹線は,その後大成功を収めますが,にも関わらず当時の国鉄がリニアモーターカーの研究を開始し,継続するのには理由がありました.その理由や,当時,世界各国で研究が進められていた「超高速鉄道」について紹介します.

 第2次世界大戦前からもヨーロッパを中心に,鉄道の高速走行への試みは行われていました.戦前の最高速度記録は,1931年にドイツのシーネンツェッペリン号が樹立した時速230.2kmです.戦後になると,フランス国鉄による高速走行試験が続けられ,1955年にはBB9000型電気機関車が3両の客車を連結して,時速330.9kmの世界記録を樹立しました.しかし,この高速走行試験では,列車の蛇行動により線路はグニャグニャになり,高速走行中の機関車のパンタグラフからはスパーク火花が飛びっぱなしでした.当時,鉄道の高速化のためには「3つの壁」があるとされていました.第一の壁は高速走行車両の「蛇行動」,第二の壁は,電化された車両への「電力供給方式」,第三の壁は,鉄製車輪と鉄製レールの間の「粘着力」でした.日本のリニアモーターカーは,これらの「三つの壁」を如何に乗り越えるかの研究開発の賜物でした. 
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