機友会ニュースデジタル版第144回 平井慎一 先生「第4回ワイン注ぎロボットチャレンジ」

ロボティクス学科ソフトロボティクス研究室の平井と申します.2023年6月16日に開催した,第4回ワイン注ぎロボットチャレンジを紹介します.このチャレンジは,2020年に始まり,今年は第4回となりました.2022年の第3回から,王研究室と平井研究室が参加しています.平井研究室のみで開催していた第1回は2チーム,第2回は4チームの参加でした.王研が参入した2022年は7チームとなり,今回は8チームの参加となりました.以前「機友会ニュースデジタル版第120回」で,チャレンジの意義とワイン注ぎロボットチャレンジの設定を紹介しました.今回のチャレンジも,その流れの中にあります.
  
競技では,ユニバーサルロボット社製のロボットマニピュレータを用いて,テーブル上に固定したグラスに,飲料に見立てたビーズを注ぎます.ビーズは,ワインボトル,ペットボトル,計量カップ,コップという四種類の容器に入っています.参加チームは,容器を把持するロボットハンドを考案し,試作します.試作したロボットハンドをロボットマニピュレータに取り付け,ロボットマニピュレータとロボットハンドをプログラムで動かします.ロボットハンドが容器を持ち上げ,容器内のビーズをグラスに注ぎ,注ぎ終わったら容器をもとの位置に戻します.この一連の動作を実現するプログラムを,それぞれの参加チームが書きます.すなわち,参加チームには,ロボットハンドの試作というハードウェアの部分と,ロボット動作のプログラミングというソフトウェアの部分の両方が要求されます.
  
競技においては,それぞれの容器内に100gのビーズを入れます.ワインに注ぐことができたビーズの重量をグラム単位で計測し,それぞれの計測値の和をチームの得点としました.容器が4種類ありますので,400点満点となります.今年はロボットハンドの完成度が高く,2チームが400点満点で優勝となりました(図1).準優勝チームも,ビーズの重量の合計は400gでした.ただし,ビーズが1粒ないし3粒こぼれたので,僅差ながら準優勝となりました(図2).3位チーム(図3)の得点は395点でした.このように今回は,僅差の結果となりました.他のロボットハンド(図4)も高い得点を得ています.
  
それぞれのロボットハンドには,様々な工夫が成されています.たとえば,優勝したロボットハンドの右側では,微小な空気の流れで空気圧を制御するという,トランジスタのような働きをする機構が組み込まれていました.3位チームのロボットハンドには,負圧で駆動するベローズアクチュエータが使われていました.指に相当する部分の形状や機構には,様々なバリエーションがあります.ロボットハンドの動作は,動画を見るとわかりやすいと思います.動画はウェブサイト
ロボット食品マニピュレーションコンテスト 2023
にあります.ご覧いただければ幸いです.なお,次回から競技内容を一新する予定です. 

図1 優勝チーム(2チーム)のロボットハンド

図2 準優勝チーム(2チーム)のロボットハンド

図3 3位チームのロボットハンド

図4 参加チームのロボットハンド

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