機友会ニュースデジタル版第29回 旭吉 雅健 氏(1996年学部卒)「実験系研究室を卒業して」

「実験系研究室を卒業して」

福井大学  学術研究院 工学系部門工学領域 機械工学講座・准教授 旭吉 雅健

1996年に機械工学科を卒業し,その後,博士前期課程(修士)と博士後期課程(博士)を修了しました.学部2回生までは衣笠キャンパスで工学の基礎を学び,3回生になった1994年にBKCがオープンしました.広いキャンパスと新しい建物や,自由に使える情報機器端末にワクワクしていたことを覚えています.ちょうどインターネットが我々でも使用できる時代になり,MOSAICブラウザで友達とネットサーフィンしながらその便利さを感じていた頃です.と言っても当時閲覧できたサイトは,SNSの発達した現代からは想像もできないくらいに非常に数少なく,インターネットの便利さを感じるよりも,これって何ができるの?というのが当時の感想でした.

修了後は,石川県の石川工業高等専門学校に14年間奉職し,その後2015年から現在の職である福井大学に勤めています.福井大学は,工学部,教育学部,国際地域学部,医学部の4学部から構成され,その学生数は学部生が約4,000人,大学院生が1,000人の規模です.そのうち,工学系の学部生と大学院生がそれぞれ2,400名,700名ですので学生の6~7割は工学系が占めている状況です.

さて,私の学位論文タイトルは「先端耐熱鋼および超合金の高温多軸クリープ疲労寿命評価法に関する研究」であり,引張とねじりを重畳負荷できる疲労試験装置を使って金属材料の高温強度を研究調査しました.近年,国内の大学では高温強度に関する実験系研究室が無くなりつつあります.学生実験授業においても,金属の特性評価の基本であると思われる引張試験さえ行わなくなった大学もあると聞きます.金属材料の実験研究はその地味さ故か,油臭さ故か,物理的な時間を要する故か,若い学生には敬遠されるのかもしれません.事実,数ヶ月を要した実験でも,グラフ上にプロットできる寿命データは1点ですので,効率(定義はできませんが…)面では決して良いとは言えません.

新4年生向けに卒業研究テーマを説明しますが,数値シミュレーション系のテーマを第一希望とする学生が多いのも近年の特徴と感じています.実験系研究室を卒業して,現在,実験系研究室を運営している立場として,「これらの状況」は,私自身が改革しないといけないと感じている大きな課題です.実験は何にも勝る真実であるという信念と,その1点をプロットできる喜びを学生たちと共有したいと考えています.

とくに高温環境での金属特性評価の実験研究はニッチな分野ですので,必要となる装置は私の学生時代から手作りです.それらの作業を,私自身が楽しむだけでなく,一緒に取り組む機械工学系の学生には,機器の実務設計や加工図面化,油圧の勉強や配管作業,電力計算や電気配線作業,装置の調整や検定等のすべての工程を経験してほしいと考えています.教室での座学で身に付けた(身に付けているであろう)知識を,知恵に変換してから社会に旅立ってほしいと思っています.

  

 福井大学の実験室の様子

北陸での就職をきっかけにスキーを始めました.また,九州出身として,これまでは芋焼酎オンリーだったのですが,北陸就職をきっかけに日本酒に目覚めました.これからも歳に関係なく,いろいろなことにチャレンジしていきたいと考えております.とくに寒い時期の北陸は,お魚はもちろんのことカニも絶品です.お近くにお越しの際には,福井大学にもお立ち寄りください.

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