機友会ニュースデジタル版第94回 畑島 敏勝 氏(昭和54年卒) 「技術者に思うこと」

技術者に思うこと

畑島 敏勝(昭和54年卒)

1979年に理工学部機械工学科を卒業した畑島です。大南研に所属し高温クリープ試験をしていた記憶があります。

卒業後、株式会社北川鉄工所に入社しましたが、当時は第二次オイルショックの頃で就職難の時代でした。私の場合、幸いにもOBの方のお声掛けにより何とか北川鉄工所に入社することが出来ました。OBの方へは大変感謝しています。

北川鉄工所は3つのカンパニーを軸としてBtoB事業を展開しています。鋳造事業で主に自動車部品製造を行っているKMTカンパニーとコンクリートプラントやクレーンなどのインフラに関連した商品を扱っているサンテックカンパニー、そして工作機械の周辺機器でパワーチャックや割出テーブルなどの商品を扱っているグローバルハンドカンパニーがあります。全く異なった3つの事業分野で事業を展開しています。

加えて、新分野を開拓する特殊工作機械を扱う事業では、ウォータージェット加工機やライトマシニングセンター、摩擦接合機などの商品も展開しています。また新たな事業として、医療機器や理化学機器などの商品も開発している多彩な企業です。

北川鉄工所に入社した当時、まずは特殊な地盤改良機を設計・開発する部門に配属されました。この機械は、地表や海底の軟弱な地盤を固化して利用可能な強固な地盤に改良する装置です。この装置は、今のサンテックカンパニーの取扱商品でした。

入社当時は誰しも経験することと思いますが、耳慣れない様々な専門用語が飛び交い理解に苦しみました。しかし、後で調べるとそれらの専門用語は学生時代の教科書に出ているものも多くありました。

会社に入ってから学ぶ事が多いのですが、大学で学んだことは基本として重要であることが判り、その後は会社の机に教科書を置くようにしました。また、業務の中で新しい技術に触れる機会があります。その際にも、学生時代に学んだ事が考えるヒントになる場合も多々あり、改めて基本の大切さに気付かされました。

入社当時、図面はドラフターで描いていました。いわゆる手描きです。大学で実習しましたが、実際に設計したものを加工者に理解して頂く図面にする為には、様々な思考が必要で、どのように表すか、どのような縮尺で何処から描き始めるか、様々な設計条件をどのように表現するかなど事前に頭の中で組立ながら描いていく必要がありました。

入社して10年たつ頃からCADが導入され始めました。CADは大変便利で、前述したような様々な問題に煩わせられることもなく描き始めることが出来、後で修正も簡単に行えるため作図の効率は上がったように思います。

一方で、簡単にコピーして作図できることから図面のチェックミスが増えたように思います。また、入力時に拡大して細かく描くことが可能になり、紙の図面にした時に細かすぎて見難いなどの問題も生じました。大変便利なツールなのですが、便利さだけを教授して考えることを疎かにしている気がします。作業効率が上がった分、創造する時間が増えないと意味がないように思います。今では3DCADも導入され更に便利になっています。

他にも設計業務を支援するツールとして、構造解析やFEM解析などの便利な解析ソフトがあります。入社当時にも多少はありましたが、使う上では非常に困難なものでした。今では入力も簡単になり強度検証などが容易に行えるようになりました。しかしながらこれらのソフトは、前提条件に間違いがあっても答えは出してくれます。よって、出た結果が必ず正しいとは限りません。その結果の正誤を見極めるためには、材料力学などの知識が必要となります。正しく判定する力を付けるためには、やはり基本が重要であると感じます。そうした便利なツールに加え、パソコンやスマートフォンなどを利用して素早く情報を手に入れることも可能になりました。

大変便利な世の中ですが、ややもすると、考えることが疎かになり、効率化だけが目的になっている場合があります。考える時間が増え情報入手が容易になったことから、様々な情報を元に技術者自らが考え、発想して新たな価値を生み出す力になってこそ便利なツールの本来の目的が達成出来るのではないでしょうか。

技術者は、知識だけでなく、こだわりを持ち、実態を注意深く観察し判断する力を身に着けるべきだと考えます。新しい技術に意欲的に取り組み、不明なままとせず、貪欲に吸収しようとする姿勢を持ち続けるべきであり、その積み重ねが技術者を育て、イノベーションを産み出す力に繋がるように思うのです。

技術の変化の激しい今の時代では、これまで以上に、新しい価値を創造する力を磨き、そして、技術の進化に対し、素早く対応できる準備が求められています。

新しい知識・技術を受け入れるためには、今の自分の固定観念を横に置く勇気が必要であると言います。ものづくり立国日本に於いては、技術者が確りと牽引し、世界に負けない新たな価値を生み出すべく努力し、そこに喜びを感じる技術者が増える事が重要だと思います。

将来、我々の仲間から未来を担う多くの有能な技術者が排出されることを期待します。

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