機友会ニュースデジタル版第141回 平井 慎一 教授「Team Ritsumeikan が RoboSoft 2023 Competitionで準優勝」

ロボティクス学科の平井です.3年半ぶりに国外の会議に参加し,そこでcompetitionにチャレンジしました.その経緯を報告いたします.
  
参加した会議は,6th IEEE International Conference on Soft Robotics (RoboSoft 2023) https://softroboticsconference.org/ です.4月3日から7日まで,シンガポールのMarina Bay Sands の Expo and Convention Centre で開催されました.会議のイベントの一環としてcompetitionがあり,今回は「in-pipe locomotion」と「food handling for trays preparation」が計画されました.Team Ritsumeikanは,「food handling for trays preparation」に参加しました.
  
今回の「food handling for trays preparation」は,飛行機の機内食を準備するイメージです.容器に入っている複数の食品(図1)を,トレー上の皿に盛りつけます.食品は,ソーセージ,ミートボール,人参,ブロッコリー,インゲン豆,スパゲッティ,クッキー,目玉焼き,オレンジジュースが当初から指定されており,後からsurprising itemが追加されました.食品が入っている容器は,テーブル上に置かれているか棚に入れられています.容器や棚は,すべてIKEAで購入することができる商品が選ばれており,参加者は事前に購入して実験できるようになっていました.
  
今回の「food handling for trays preparation」では,それぞれの食品が入っている容器は,参加チームによって異なります.たとえば,テーブル上に置かれている容器の位置は同じですが,何が入っているかが異なっています.ロボットは自律的に動くことが求められます.すなわち,ロボットが動き始めたら,人が介入することはできません.したがってロボットは,センサを用いて容器内に入っている食品を認識し,それを把持した後に,トレー上の指定された皿に盛りつける必要があります.ロボットは,8種類の食品を盛り付け,さらにオレンジジュースをコップに注ぐ動作を実行します.
  
今回の参加は,王先生が提案し,院生の名手君と薛君がシステムの構築を行いました.2月10日までの申し込みを済ませ,ルールブックを読んでcompetitionの概略を理解した後に,ロボットハンドの考案と設計,実験を通した評価を進めました.ロボットアームは現地で借りることが可能でした.ただし,自律的に動くロボットシステムを構築する必要があるので,ロボットアーム,ロボットハンド,三次元カメラ,コンピュータはこちらで準備し,すべてシンガポールに持っていくことにしました.これにより,現地での調整を短縮することができ,安定した動作を実現できたと感じました.
  
参加チームは,1) シンガポール国立大学 (NUS),2) Singapore University of Technology and Design (SUTD),3) ブリストル大学 (UoB),4) イタリア工科大学 (IIT),5) スイス連邦工科大学ローザンヌ校 (EPFL),6) 立命館大学 (RU) でした.アジアから3チーム,ヨーロッパから3チームです.実演スペース(図2)が2か所あり,2チームが同時に実演しました.ロボットによる盛り付けは,なかなか成功しません.どのチームも苦労していました.われわれの盛り付け(図3)においても,欠品やこぼれが生じています.
  
結果として,Team Ritsumeikan は,準優勝でした.授賞式(図4)で賞状(図5)を頂きました.自律的に盛り付けるというcompetitionは,今回が初めてでした.結果として「自律的に動く」ことが予想以上に難しいことを認識しました.認識が難しい,認識ができても把持ができないことが多く,認識と把持を統合することで見えてきた課題もあります.課題を解決し,次回のcompetitionに挑戦しようと考えています.  
図1 容器に入っている複数の食品
図2 実演スペース
図3 盛り付け例
図4 授賞式
図5 賞状
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