機友会ニュースデジタル版第78回 「2018年度機友会奨励賞受賞者の方から受賞の感想いただきました」 中山雄太さん

機友会奨励賞受賞における感想

理工学研究科 伊藤研究室 M1 中山雄太

機友会奨励賞受賞を受け、大変光栄に思います。本研究室は優秀な学生がたくさんおり、伊藤教授も甲乙つけがたいとおっしゃっていた中で受賞できたため、常日頃の努力が実を結んだものと感じております。今回の受賞は必ずしも私個人の努力だけで頂いたものではなく、所属研究室の担当教授である伊藤隆基教授、並びに小川文男助教授、同研究室所属学生のお力添えがあったからこそのものであり大変感謝しております。

次に昨年度私が担当していた二つの研究内容を順に説明いたします。まず、一つ目の研究テーマは、ステンレス鋼を用いて高温、そして非比例多軸負荷と呼ばれる複雑な環境下で試験を行い、ステンレス鋼が破断するまでの疲労寿命を測定します。そして、取得したデータをもとに疲労寿命を予測するためのパラメータを作成することを目的としております。ちなみに、疲労とは力を繰り返し継続的に受ける時その物体の強度が低下するという現象で、その物体が破断するまでに繰り返し負荷を受けた回数が疲労寿命です。本研究より、火力や原子力発電を始めとする大型高温プラントの設計をより合理化するとともにその信頼性の向上を図ることが期待できます。

続いて、もう一つの研究内容について、本研究では「調和組織と呼ばれる特殊な組織構造の作成」「カーボンナノチューブの添加」による二種類の方法により、マグネシウム合金の強度・延性を向上させることを目的としております。研究背景といたしましては、近年の急速な地球温暖化により,二酸化炭素の排出量抑制が強く要求されており,特に産業界において自動車の重量と二酸化炭素の排出量には相関性があります.そのため,自動車を含む輸送機の軽量化が求められており,より軽量で高強度な材料の開発が急がれています.現在、自動車の軽量化に際して実用金属中最軽量であるマグネシウムの利用が注目されています。しかし、マグネシウムは延性に乏しいため、加工が困難である等の課題があるため、本研究では上記二種類の手法により延性向上に向けた研究を行っております。また、本研究では今年三月に開催されました関西機械学会においてBPA(Best Presentation Award)を受賞することができました。

今年度から新たな研究テーマを担当することになりましたので、再スタートという気持ちで初心に立ち返り、今回の受賞に恥じぬよう今後より一層努力を続けてまいります。また、今年度は数カ月の研究留学や技術経営を学ぶための実践演習を行う予定であり、研究のみならず将来社会に貢献できるような人材を目指して精進致します。

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